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近江国庁(滋賀県大津市)

近江国庁

奈良時代から平安時代における近江国の国庁(地方政庁)。
詳しい時期は不明だが、藤原仲麻呂が近江守を叙任した745年以降の成立と思われる。
発掘調査による検出物より、10世紀末頃まで近江国統治の中心として機能していたと考えられる。

長らくその所在は不明であったが、1935年に米倉二郎(広島大学名誉教授)が学会誌にて栗太郡瀬田町大江(現在の大津市大江三丁目)付近にあると発表。
1963年と1965年の発掘調査で国庁の中枢部が確認され、それが裏付けられることとなる。
大津市大江三丁目と六丁目に渡って所在し、国府全体の広さは8~9町(約872~981m)四方に及ぶ。
国庁はその南端中央部に位置し、四方を築地塀で囲まれた東西2町(約218m)、南北3町(約327m)の広さであったと推測される。
東西28.9m、南北19.3mの基壇上に建つ東西23.1m、南北15.0m規模の正殿を中心に、その左右からは東西の脇殿、北側からは正殿と同規模の後殿の4棟の建物が検出された。
いずれも基壇上に建てられた瓦葺きの礎石建物で、その配置は藤原京や平城京の大極殿・朝堂院の配置に酷似する。

1973年、国史跡に指定。
現在、同地には築地の一部と基壇が復元されている。

近江国庁の発掘調査によって地方政庁としての国庁の中枢部の様子が明らかとなり、中央政庁である平城宮と構造上の類似性がみられること、行政機関として共通する機能を持っていたことも明らかとなった。
その成果は、ほとんど不明のままであった全国の国庁の調査が進められる先駆けとなる。 続きを読む